どうも、太陽です。
人はしばしば、「遠くの誰か」に憧れ、心を奪われる。著名人、カリスマ、推し──そうした存在に時間やお金を費やし、まるで自分の人生の一部であるかのように錯覚する。
しかし現実的に考えれば、そうした「遠くの人」はあなたの生活を直接的に助けてくれるわけではない。彼らはもともと魅力があり、光の当たる場所に立つ人たちだ。
一方で、私たちが日常的に関わり、避けては通れない「身内」や「近しい人間関係」は、人生の快適さや安定に直結する。そこをどう扱うかで、人生の質は大きく変わる。
遠くの憧れを追い続けるより、身近な人間関係を整えたほうが、最終的に得るものは大きいのだ。
遠くの有名人や推しにお金や労力を捧げるよりも、身内などの「強制的に関わらざるを得ない人たち」を戦力化したほうが、現実的かつ建設的である。
もちろん、身内を完全に切り捨てて独り立ちできる人は例外だが、多くの場合、身内は避けようがない存在であり、そこをどう扱うかが人生の安定を左右する。
だからこそ、戦略的にいい影響を与え、居心地のいい関係を築く努力をしたほうが最終的には得をする。身内の悪口を言っても何も解決しない。それよりも、彼らをどう動かすか、どう味方に変えるかを考えたほうがよほど現実的だ。
この考え方は中小企業の経営にも通じる。社員の愚痴や不満を言っても生産性は上がらない。雇った以上、戦力化するしかない。もちろん、不正を働く者や極端に無能な場合は解雇もやむを得ない。
しかし、現実的には「凡人を戦力化できるスキル」こそ、どんな組織でも通用する普遍的な力だ。優秀な人材を選び抜くより、凡人をどう育て、どう動かすか。
そのほうが長期的な影響力を持つ。これは家庭でも職場でも同じことであり、社会の縮図そのものだ。
遠くの人というのは、そもそも直接会ったこともなく、知り合いでもない。憧れの対象ではあっても、現実に支援してくれるわけではない。
逆に、身内は現実の生活に密接に関わり、良くも悪くも影響を与える存在だ。だからこそ、身内をマネジメントし、環境そのものを改善していくことのほうが、人生のインパクトは圧倒的に大きい。
身近な関係を整えることこそ、もっとも効率的で再現性のある「自己変革」の方法なのである。
もし本当に能力があるなら、有能な人だけを相手にするのではなく、凡人──つまり、自分の周囲の人々をも上手に戦力化できるはずだ。自分が模範となり、態度や言葉、行動で影響を与え、少しずつ良い方向に導くことができる。
それが真のマネジメント能力だといえる。私自身もこの考えに気づき、身内への接し方を変えるようにしている。
相手を変えるのではなく、まず自分の関わり方を変える。すると、不思議と周囲の反応も変わり始める。
人はなぜ、自分で選んだ友人や知人の悪口を言うのだろうか。身内は血縁という宿命的なつながりがあるにしても、友人や仲間は自分の意志で選んだはずだ。
それにもかかわらず悪口を言うのは、心のどこかで「今の関係は本来の居場所ではない」と思っているからだろう。つまり、もっと理想的な人間関係にたどり着けるはずだと思いながら、現実にはそうなっていない。
そのギャップが不満や愚痴として表れているのだ。しかし、現状が理想に達していないのなら、それが現実の実力でもある。理想を語る前に、目の前の関係をどう改善できるかを考えるほうが建設的だ。
Gravityという音声アプリでは、なるべく有能で賢く、会話が噛み合う人たちと交流したいと考えている。そのためには、ふさわしい自分でいる努力も必要だ。
身内との関係ではマネジメントを意識し、Gravityでは自分のレベルに合った人とつながる──この使い分けが重要になる。
たとえば、東大生なら同級生と知的な議論を交わし、塾講師なら落ちこぼれの生徒を導くように、それぞれの場に合わせた役割や接し方を選ぶ必要がある。人間関係の文脈ごとに、自分のモードを切り替えるのだ。
テニス仲間のような趣味友達は、あくまで趣味の範囲で心地よくつながる関係でいい。無理に踏み込む必要はない。むしろ、家庭内では身内マネジメントを徹底して、生活環境を整え、不要なストレスを減らす。
そして外部(Gravityなど)では、自分に合った人を探し、成長につながる関係を築いていく。この「内」と「外」のバランスが取れたとき、人はもっと自由に、快適に生きられるようになる。
振り返ってみれば、3年前の自分と比べて、明らかに生きやすくなっている。多くの気づき、試行錯誤、そして実行の積み重ねが、その変化を生んだ。
そして今、ようやく「身内マネジメント」という境地にたどり着いた。これこそが、最も現実的で、かつ持続可能な生きやすさの構築法である。
父親はともかく、身内の女性4人を見て「戦力にならない」と気づき、これまで孤軍奮闘してきた。しかし今後は彼女たちも対象としてマネジメントを行い、少しでも害を減らす方向へ舵を切る。
もちろん、彼女たちを積極的に向上させたり、一流の人物に育て上げることは難しい。だが、「害を減らすマネジメント」であれば実現可能だ。相手を完全に変えようとせず、ストレスを最小限に保ちながら、共存できる空気を作る。それが現実的な戦略である。
これまで、身内に対しては一方的に「介護している」ような感覚を抱いていた。しかし、身内マネジメントの考え方を導入することで、その負担感を軽減し、実際に良い方向へ動かすことができるようになった。
とはいえ、依存されすぎたり、用事を大量に押し付けられるのは避けたい。だから僕が実行しているのは、主に「メンタルマネジメント(心のケア)」である。相手の精神状態を落ち着かせ、自分にとっても快適な距離感を保つ。これが一番効率的であり、持続可能なやり方だ。
これまでマネジメントという分野にはあまり興味がなかったが、実際に使いこなしてみると、置かれた環境を快適に整える強力なツールになることがわかった。
節約、ダイエット、筋トレ、セキュリティ自衛、メンタル術──これまで自分が試行してきた数々の取り組みの延長線上に、この「身内マネジメント」がある。最終的に行き着くのはここなのだ。
遠くの理想や憧れを追い求めるよりも、近くの現実をどう動かすか。その力を持つ人が、本当に環境を変え、人生を楽にしていく。
身内をマネジメントし、凡人を戦力化し、現実を味方につける。これが、生きやすさと幸福を同時に手に入れるための最短ルートである。
身内マネジメントとは、最も地味でありながら、最も確実な人生戦略なのだ。