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勝てない戦いに、人はなぜやる気を失うのか ――努力・先延ばし・損切りを「コストとリターン」で読み解く

どうも、太陽です。

 

「努力家」と「決められない人」は紙一重である、という心理学的な指摘がある。

その背景には、本人の怠惰や根性不足ではなく、「努力が報われるかどうか」という見通しの問題が深く関わっている。

人は、行動すれば状態が良くなると信じられるときに初めて本気で動く。

逆に、どれだけ頑張っても報われないと予測できてしまった瞬間、意欲は自然と失われていく。

 

期待できるリターンが低いと分かっていることに対して、人は本気のやる気を出せるだろうか。

成功する確率がかなり低く、仮に成功しても得られるものが小さいと分かっている作業に、心から前向きになれる人は多くない。

たとえば、HP制作やコーディングの世界は、その典型例だと思う。

競争は激しく、単価は下がり続け、努力に対する見返りが見合わないケースが多い。

一方で、難易度はやや高くても、結果がほぼ確実に返ってくる分野もある。

私にとっては、いわゆるスパイスマホの構築やセキュリティ関連の作業がそれに当たった。

手間はかかるが、やった分だけ確実に成果が残るため、迷いなく行動できた。

 

リターンが低く、成功の見込みも薄いと分かっている場合、人は「消去法で仕方なくやる」という姿勢になりがちだ。

しかし、その状態で心からやる気が出るだろうか。私には難しかった。

その点、節約、ダイエットや筋トレ、そしてセキュリティ対策は、やればやるだけ確実に報われる分野だった。

成果が目に見え、失敗の確率も低い。だからこそ、ほぼすべて実行できた。

先延ばしが起きなかった理由も単純で、「報われそうなもの」がはっきりしていたからだ。

 

野球で例えるなら、9回まで来て10点差がついている試合である。

ほぼ負けが確定している状況で、そこから逆転しようと心の底から思えるだろうか。

プロであれば、消化試合であっても最後まで全力を尽くす姿勢は評価される。

しかし同時に、次の試合や将来のために余力を残すという戦略的判断をすることもあるはずだ。

 

「先延ばしは良くない」「とにかくやれ」と言う人は多い。

だが、その人たちは、報われる副業や、進むべき具体的な道を示してくれるだろうか。

多くの場合、そうではない。

私は、自分なりに報われそうな分野を徹底的に調べ続けた。

結果として、ほとんど見つからなかったが、月収10万円程度なら現実的に狙えそうなものが一つだけ見つかった。

それまで守りに集中していて手をつけていなかった分野だった。

 

誰かをやる気にさせる場面でも同じことが言える。

その人がやる気を失っているのは、過去に失敗や報われなかった経験を積み重ねすぎて、「今回もどうせダメだろう」と思っているからかもしれない。

だから必要なのは、精神論ではなく、勝ちグセをつけることだ。

努力が報われたという体験を、少しずつ積み重ねさせる。

人は「報われる」と思えたときに初めて行動する。

 

にもかかわらず、あまり考えずに、報われなさそうな負け戦に飛び込む人もいる。

それは良い選択だとは思えない。

まず分析し、推測し、勝てそうな戦を選び、勝ちに行く。

その積み重ねが、やる気を持続させる源になる。

逆に負けグセがつくと、行動と意欲は悪循環に陥る。

 

勝てそうで、確実に報われる分野として、筋トレやダイエットがある。

自己改造に成功すると、自信がつく。

次に節約がある。これも成果が出やすい。

一方で、セキュリティは難易度がかなり高く、万人向けではない。

副業は失敗率が異様に高いため、慎重に選ばなければ、負け戦だらけになる。

一勝十敗ですら、精神的にきつい。

 

ナンパや営業が一勝百敗でも成り立つのは、声をかけるコストがほとんどゼロだからだ。

しかし副業の場合、一定期間の時間と労力を投入しているため、一勝百敗を簡単に割り切れない。

そこにはサンクコストの罠があり、人はコストをかけるほど撤退できなくなる。

 

だからこそ、損切りが重要になる。

成果が出ない、報われなさそうだと悟った時点で撤退する。

早ければ早いほど、サンクコストの罠にはまりにくく、後悔や損失感も小さくて済む。

多くの時間とエネルギーを注ぎ込んで報われなかった場合、そのダメージは大きい。

 

戦略的に勝てそうなこと、報われそうなことを選んで取り組むと、勝ちグセとやる気の好循環が生まれる。

負けそうなことは避け、必要なら損切りする。

グリット、つまりやり切る力が高い人は、自然とこれを行っているように思う。

 

一方で、どうしても負けられない戦いも存在する。

私にとってそれは、セキュリティ、そして人権侵害やプライバシー侵害との戦いだった。

だからこそ、ここまで執着して防御を固めてきた。

 

コストがかからないことは、気軽に試せばいい。

しかしコストがかかることは、熟考が必要だ。

ここには、個人と組織の違いもある。

個人は、コストも小さく、最悪の場合でも責任を自分一人が負えば済む。

 

一方で、組織は意思決定そのものにコストがかかり、多数の人を巻き込むため、責任が重い。

組織で制度が頻繁に変われば、「せっかく慣れたのに、また変えるのか」と不満が出る。

しかし個人単位であれば、朝令暮改でも誰にも迷惑をかけない。

他人を巻き込む場合には、先を見通す力と熟考が必要になる。

だからこそ、特区で実験し、成果が出たものを全国に広げるという仕組みが存在する。

 

特区で成果が出たからといって、全国区で必ず通用するとは限らない。

それでも、論理的に説明できれば説得力は生まれるし、仮に失敗しても、熟考と実験を経た結果として一定の納得は得られる。

個人や小チームは機動性が高く、変化に敏感に対応できるが、大集団は構造上どうしても動きが遅くなる。

 

関わる人が増えれば増えるほど、スケジュールや利害が絡み、急な変更には文句が出る。

そして変更後に失敗すれば、さらに批判される。

個人であれば、損害は自分だけが負うため、誰にも責められない。

それでも、私が行動を変えるたびに、身内から「また変えたの?」と言われることはある。

 

セキュリティは絶対に負けられない戦いだと述べたが、実際にはGrapheneOSスマホで実験を重ね、仮に侵入されてもプロファイルを削除すれば済む状態を作った。

攻撃者にとって割に合わない構造だ。

一方で、中華スマホはTP-LinkのWi-Fiが原因かは断定できないものの、侵入を完全に防ぐことは不可能だと分かった。

 

GrapheneOSはXが見られないなど不便も多い。

それなら、侵入されてもプロファイル削除で済む割に合わないスマホを持ちつつ、利便性を求める場合は侵入前提の中華スマホを使い、基本的に機内モードにするしかない、という結論になる。

これは、便利な車を持っていても、月に数回必ず事故が起き、そのたびに修理が必要だと分かっていたら、移動そのものを控えるしかなくなる、という状況に似ている。

完全な例えではないが、感覚としては近い。

 

永世中立国スイスが強いのも、山が険しく攻め込みにくいという地理的要因に加え、軍事力が強く、奪っても得られるものが少ないためだ。

コストがかかる割にリターンが小さい。

ビジネスで喧嘩が強い人も、同じ構造を持っている。

 

人は、多少コストがかかっても、確実にリターンが得られると分かれば行動する。

それが希望であり、「行動すれば状態が良くなる」という感覚だ。

希望がなければ、人は動かなくなる。

 

努力できないのではない。

人は、報われないと分かっている戦いから、本能的に距離を取っているだけだ。

コストとリターンを見極め、勝てる場所で戦うこと。

それが、やる気を取り戻し、人生を前に進めるための、最も現実的な戦略なのだと思う。

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