どうも、太陽です。
この記事では、これまでの名作と今後楽しむコンテンツのリストを共有します。
興味のある方は、ぜひ続きをお読みください。
2024年夏から始まるエンタメ旅:これまでとこれからの視聴記録PART14
2025年9月日に読んだビジネス書「社会は、静かにあなたを「呪う」」
2025年9月日に鈴木祐氏のビジネス書「社会は、静かにあなたを「呪う」」を読了しました。
2025年8月発売。
社会は、静かにあなたを「呪う」: 思考と感情を侵食する“見えない力”の正体
この文章は有料書評で書いていましたが、著者が本の内容の大半を無料で公開しているのを見て、世の中に広めたい!のだなと察知したので、僕もそれに便乗して無料記事に載せることにしました。
本書では、呪い(他者のメッセージが持つ強い影響力のこと)に無意識に多くの人は影響を受けており、それによって人生への絶望や生きづらさを感じることがあると言います。
本書で現代人が囚われやすい呪いとして、以下の5つが挙げられています。
1 日本の未来に希望はない
2 幸せになるために生きよう
3 競争や成長から逃げよ
4 情熱を持って仕事をせよ
5 人生は遺伝で決まる
これらの大半は実際には根拠があいまいで、誤解に基づく思い込みなのに、私たちの行動や思考に静かですが、確実に影響を及ぼしています。
本書ではメカニズムを解き明かしたうえで、この無益な呪いから距離を置く方法が書かれています。
序章で呪いとは何か?とあり、古来では呪いで人が死んだ実例が数多くあり、例えば、医師から余命数ヶ月と言われた肝臓がん患者は実際には誤診だったのに、数週間で死亡のケースや、ワクチンにおいてプラセボ注射を受けた患者の多くが本物のワクチンを接種したグループと同じように、胸の痛みや発熱などの副反応を報告しています。
外部から取り込んだ情報は無意識に影響を与え、ときに致命的な結果を引き起こしますし、さらに私達はみな他者からの呪いの影響を受けやすいです。
サクラの影響によって、自説を曲げたり、サクラの意見に流される確率は平均で約38%ですし、2人までの意見なら何を言われても私達は自分の意見を保つことができますが、3人の人間から同じことを言われると、その内容が間違っていようが、受け入れてしまいます。
肥満になるかどうか、投票に行くかどうか、離婚するかどうか、わがままに生きるかどうか、自死を選ぶかどうか、飲酒の習慣、睡眠不足、うつ病といった行動が他者から伝染することがわかっています。
メディアで声高に言われていることでも多くの人は鵜呑みにはできないと思いますが、インフルエンサーや信頼する仲間から日々同じメッセージを受け取っていれば、知らずのうちに影響を受けます。
他人事効果という用語があり、皆はSNSやテレビのメッセージに左右されすぎだと心配する一方、自分はメディアに踊らされない、と考えることです。
トイレットペーパー買い占め騒動でも、買い占めを行った人の大半は「自分はこの情報が間違いだとわかっているが、他の人たちはこの噂を信じるだろう」と考え、そんな思考の連鎖が全国的なパニックにつながりました。
他にも「テレビの広告は自分には関係ない」と考えながらも「他の人たちはCMに踊らされている」と信じたり、センセーショナルな報道を見て、「自分は冷静に判断できるが、他の人たちがすぐにだまされるだろう」と考えるケースがあります。
他人事効果が強い人は、教育水準の高い人、専門知識を持っている、年齢が高い、社会的地位が高い、自己評価が高い、の特徴がある人です。
まずは「日本人は生産性が低い」という呪いから。
1人当たりGDP世界ランキングは真の豊かさを保証しておらず、例えば1人当たりGDPの上位の国は小国ばかりで、オリジナルの稼ぎ方をする一点突破型の国であり(海外労働者誘致、極端な税率下げ、カジノ、石油や天然ガスありなど)、参考にならず、人口5000万以上の国で比較し直すと、2023年で日本は世界34位から6位までジャンプアップします。
1人当たりGDPは国にため込まれた資産の蓄積を考慮しておらず、国の資産をうまく把握できる指標としてスティグリッツ報告があり(人的資本、人工資本(インフラ)、自然資本)、スティグリッツ報告をもとにはじめた調査が「インクルーシブ・ウェルス」です。
インクルーシブ・ウェルスだと、日本は総量でアメリカに次ぐ世界2位で、1人あたりのランキングでは世界1位で、資産の蓄積に関しては世界でもkっとも豊かな国の一つです。(特に、人的資本と人工資本の2つが、評価が高い)
労働生産性は数字の面では確かに低いが、質が考慮されておらず、質を考えたら決して日本人の生産性は低くありません。
労働生産性は国の景気を反映しているだけであり、労働者のスキルや技術は変わっていないですし、日本は長くデフレだったので、企業がサービスの量を減らし、GDPが減り、それにともなって労働生産性が低くなっていました。
生産性が低いから景気が悪いのではなく、景気が悪いから生産性が低いように見えるわけで、労働生産性をもとに「技術力が低い」「働き方が悪い」とは一概に言えません。
また、生産年齢人口1人あたりGDP(15〜64歳までの人数に絞って生産性を判断)だと、1998年から2019年にかけて日本の生産年齢GDP成長率は1.39%で、アメリカの1.65%とたいして変わらず、さらに2008年から2019年にかけての成長率だけに絞ると、日本の成長率は1.49%でアメリカの1.34%を上回り、これはG7諸国で1位です。
(ちなみに、65歳までに限定せず、15〜69歳に広げた分析でも、日本の順位は大きく変わりません)
OECD国際成人力調査(読解力、数的思考力、問題解決能力)の2024年調査で、日本人の能力は世界のトップクラスです。(問題解決力の成績はOECD加盟国で世界1位、読解力と数的思考力も2位、あとはイタリアやスペインの大卒よりも日本の中卒のほうが能力で上回っています)
2013年に行われた同調査では、読解力や数的思考力は1位で、問題解決力は10位でした。
「過去50年にわたって、人類のモラルは安定している」というメタ分析データもありますが、世界各国で「モラルは昔より低下した」と回答する人は多かったのです。
次に、「少子高齢化する日本は衰退するしかない」という呪いについて。
人口と経済には関係があり、人口が増えれば経済も伸びるし、経済が伸びれば人口も増える。
ただし、成熟経済においては、経済が成長しても人口は微増しかせず、人口が増えようが減ろうが経済はさほど変化しない、という確固としたデータがあります。
インフラ設備が遅れているか、国際的な学力調査や就学率のデータで課題が指摘される国、いわば「若年経済」「移行経済」は人口の増減によって経済が変化しやすい一方、成熟経済は人口の影響と経済にほぼ関係がありません。
なぜかというと、教育や医療のレベルが高いからで、教育の水準が高いと、人口が多くても1人当たりの生産性は上がらないし、医療の質が悪ければ健康で元気に働ける期間が短くなるので、たとえ人口が減っても、人材の質さえ高ければ経済は回ります。
経済成長を「人」「モノ」「技術(知恵)」の3つのわけて捉える成長会計によると、日本の成長を下げる力は0.7%ぐらいであり、日本は終わると言えるほどのインパクトではありません。
一番重要な要素は「生産性の向上」であり、それは日常の工夫やアイデアが含まれ、リーマンショックから2019年までの日本の生産性向上率はG7諸国のなかではドイツと並んで最も高く、アメリカが0.8%、イギリスが0.7%なのに対し、日本の成長率は1.2%です。
日本の経済が停滞した1996年から2015年までの平均GDP成長率は0.8%で、そのうち材料や機械の増加によるものが0.2%、働き手の数は逆にマイナス0.3%で、すべて差し引きすれば、この時期の日本は、人口が減り始めたのに、生産性が向上したおかげで0.9%分もの成長を成し遂げた計算になるので、人口が減っても日本が終わるわけじゃありません。
近年の日本で働く65歳以上の数は全体の25%であり、逆に現役世代で就業していない人も多く、その割合は30%近くに達するので、支える人と支えられる人の関係を見たいなら、1人の働く人が何人の働いていない人を支えるのかを知る必要があります。
この関係による結果は、1975年=0.88、2020年=1.13であり、今も昔も支える人と支えられる人の関係はほぼ変わらず、というよりも過去のほうがやや現役世代の負担は大きかったのです。
つまり、この45年間、日本人はずっと「働いていない人」1人を、ほぼ「働く人」1人で支え続けており、負担の量は増減していません。
また、今後も同じペースで女性の社会進出や高齢者の労働参加が進むと仮定すると、2070年における就業者÷非就業者の数は、1.13人となり、現在とまったく同じになります。
社会保障については未来(2040年)の出費は1.6倍になるという予想は、正しい重さではなく、経済学ではGDP比を使えば正しい負担の重さが測れます。
これによると、2018年が20.8%で、2040年が23.5〜23.7%となり、倍率にして1.14倍ほどの増加で、思ったよりも負担感がないことがわかります。
著者の文章で読みたい方は、以下の2記事を読んでください。(正確に把握できます)
https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20250910-suzukiyubook1
日本は本当に貧しいのか? サイエンスジャーナリスト・鈴木祐が科学的に解説
https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20250911-suzukiyubook2?heading=2
少子高齢化する日本で現役世代の負担は本当になくなるのか【科学的考察】
世の中がよくなるほど、人は小さな悪に敏感になる、という逆説があり、つまり、一つの問題が減るたびに、以前は何も思わなかったものごとが、急に目につくようになってしまうのです。
例1。凶悪な犯罪が減れば、以前は軽微な違反だった行為が大罪に思えてくる。
例2。差別が減れば、過去の平凡な言葉づかいを攻撃的だと感じはじめる。
例3。職場の環境が改善されれば、昔は気にならなかった些細な不正が気になってくる。
例4。静かすぎる部屋では、時計の音がより大きく響く。
人間はネガティブな情報を過大に評価する性質があります。
第2章は、幸せにならなければ生きる意味はない、です。
詳しい記事があったので紹介します。
https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20250912-suzukiyubook3-1
「楽しいことだけやれ」は本当に正しいのか。科学的に分析してみた
https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20250913-suzukiyubook3-2
ただ楽しいだけでもダメ。人の快楽はどう決まるのか!? 【科学的に分析】
第3章は、競争から降りて、みんなで貧しくなろう、です。
詳しい記事があったので紹介します。
https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20250914-suzukiyubook4
「他人の目など気にせず、自分らしくしろ」は本当にいいのか【科学的に分析】
https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20250916-suzukiyubook5
本音を隠して病む人と病まない人の違い、を科学的に分析すると
第4章は、情熱のない人生は、無に等しい、です。
第5章は、人生は生まれで決まり、努力には意味がない、です。
詳しい記事があったので紹介します。
https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20250915-suzukiyubook6
”遺伝ガチャ”はうそ!? 科学的に考察すると…
https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20250917-suzukiyubook7
子は親の性格を継ぐのはうそ!? 科学的に考察すると…
終章は、なぜ人は人を呪うのか?、です。
https://goetheweb.jp/lifestyle/more/20250918-suzukiyubook8
対人問題が起きやすい人と起きにくい人の違いとは【診断テスト付き】
人生で読んだ本の中で上位3冊の中に入るほどの名著でした。
パーフェクトな本で、当然、評価は5つ星です。
74ページ以降はまとめておらず、URLを貼った記事もすべてではなく、重要な内容が本にたくさん載っているのでぜひ買って読んでください。
社会は、静かにあなたを「呪う」: 思考と感情を侵食する“見えない力”の正体
評価★★★★★
2025年10月日に読んだ小説「生殖記」
2025年10月日に朝井リョウ氏の小説「生殖記」を読了しました。
2024年10月発売。
朝井リョウ氏の小説は過去に1冊も読んだことがなく今回が初です。
この小説は2022年8月〜2023年10月まで、北海道新聞、中日新聞、東京新聞、西日本新聞、河北新報の各紙で順次掲載されたものを大幅に改稿したものです。
生殖についてひたすら独特な文体で綴っている小説のようです。
最初は革新的な試みだと感じ、好奇心をそそられましたが、次第に慣れていき、驚きは薄れました。
そして、30ページまで読んだとき、このダラダラとした展開がずっと続くの?と思い、100ページ以降をざっと読みしてみたら、なんかあまり面白くなりそうもなかったので損切りしました。
この独特な文体はあまり好きじゃありません。(朝井リョウさんの文体ではなく、この生殖記という小説だけのために用いられた文体です)
10万部突破し、高評価を受けているようなので、僕と相性が悪かっただけなのでしょう。
評価は不能とします。
小説を著者買いではなく(評判が確立され、自分に合っていると事前に知っている)、新規でチャレンジして買って読むのはかなりリスキーだなと思いました。(ハズレ率が高すぎます)
2025年11月1日に読んだ小説「七人の記者」
2025年11月1日に一本木透氏の小説「七人の記者」を途中まで読みました。
2025年9月発売。
この本のタイトル「七人の記者」は黒澤明監督の名作映画「七人の侍」(1954年製作)へのオマージュを狙って書かれたものだといいます。
他には、この小説n創作動機として「大統領の陰謀」(1976年製作。ウォーターゲート事件を題材にした実話)があり、ジャーナリズム映画の金字塔で、この映画を見た多くの学生が、新聞記者に憧れていて、著者もその一人だったのです。
この小説では2つの映画から受け取ったメッセージである、個々人が本当は胸の底にある良心を現実にどこまで貫けるか、と、葛藤を抱えつつも、決して揺らがなかった彼らの強い信念と気概、自分に課したことをやり通す意地と、人間としての高潔さを描きたかったようです。
昨今の為政者の横暴を見ると、パワーのある側に、最低限のモラルや倫理観、人権意識が欠如しており、一方で、それを見聞きした個々人も、組織、全体、集団におもねり「保身」に走り「傍観」を決め込む、つまり、社会は成熟に向かうどころか、こんなにも未熟だったのか、と著者は気づきます。
この小説は、大学新聞の一人の女性学生記者が、教授の性加害問題を察知して動き出すところから始まり、やがて、タウン誌のおじいちゃん記者、失敗し左遷され自分を見失っていた大手・中小のまったく異なる媒体の記者たちが、女子学生に突き動かされ結束し、また、今後いつのまにか忍び寄るであろう「言論統制」という名のパワーの足音、戦後80年、再び世の中が間違った方向になだれ込まないか、重要な歴史の変節点にさしかかっている、という背景とテーマを描いているようです。
(これらはあとがきに書かれています)
18ページまで読んでみて、無駄な背景描写が多すぎて、展開が遅すぎると感じ、この小説は391ページまであると知り、重要な内容が書かれている予感は感じますが、それを得るために膨大な無駄を読まなければならないと思うと、きついと感じ、18ページで損切りしました。
文章も読みやすいですが、ライトノベルのような雰囲気を感じます。
早期に損切りしたので、評価は不能とします。
2025年12月4日に読んだ小説「ライアーハウスの殺人」
2025年12月4日に織守きょうや氏の小説「ライアーハウスの殺人」を途中まで読みました。
2025年7月発売。
独創性が高い小説で、今までにない設定で読ませてやろうと作者の意気込みを感じました。
ミステリー愛好家の女性が資産を受け継ぎ、その資金で孤島に建てた館で、連続殺人を計画的に意図的に起こそうとしますが、途中、予期せぬこと(自分が最初の殺人を起こそうとしたのに、何者かがそいつを殺してしまった)が起こり、どうなるのか?という展開です。
読んだことのない設定だったので、興味が湧き、150ページまで読みましたが、この設定や謎の真相を本当に知りたいか?と疑問が湧いてきたのと、中盤でダラダラとした展開になってきたので、損切りしました。
最後のオチを読んでしまい、やはりそこまで読了するほどじゃないと思いました。
しかし、文体がイマイチで、数十ページで離脱してしまうほど退屈な作品もある中で、この小説は文体に関しては読ませる文章でした。
あとは内容がしっかりしていれば!という印象です。
途中で損切りしたので、評価は不能とします。